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神奈川県民ホール
〜ESCO導入で環境対策・設備更新と省コストを実現〜

外観

神奈川県の総合ホールとして県民の芸術文化育成に貢献している神奈川県民ホール。
老朽化した設備の改修工事の際に、ESCOを導入することで環境対策、省エネの成果を上げています。

●ユーザー紹介  神奈川県民ホール
1975年(昭和50年)1月17日に開館し、2005年に30周年を迎える神奈川県民ホール。全国屈指の規模と設備を誇る多目的ホールであり、神奈川県民の芸術文化の振興と福祉の増進を図る場として幅広い用途で利用されています。
中でも約2,500名収容できる大ホールは、ニューミュージック、バレエ、クラシック、オーケストラなどが興行され、稼働率は8割を超えます。

2001年、社団法人日本建築家協会が主催する、25年以上に渡って「長く地域の環境に貢献し、風雪に耐えて美しく維持され、社会に対して建築の意義を語りかけてきた建築物」を表彰する『第4回 JIA25年賞』を受賞しました。

■神奈川県民ホール概要
所在地:神奈川県横浜市中区山下町
延床面積:28,500m²
構造:鉄骨・鉄筋コンクリート造
階数:地上6階・地下1階
   (最高部高さ35.5m)
開館:1975年1月17日
管理運営:財団法人神奈川芸術文化財団
     (神奈川県より受託)
■施工概要
導入したシステム・機器:
   ・ESCOサービス
    (シェアード・セイビングス型)
   ・蒸気吸収式冷凍機(285RT)
   ・蓄熱コントローラ(PARAMATRIX-Ⅲ)および熱源管理用
   ・監視盤(savic-netEV model10)
   ・冷却水ポンプ変流量制御
工期:平成13年4月〜6月
ESCO契約期間:平成13年4月より22年3月


小ホール
大ホール



導入の経緯

●ホール運営におけるホール環境の維持

みなとみらい線が開通し、より一層の賑わいを見せる横浜市中区山下町。木立が美しい山下公園と通りを挟んで、神奈川県民ホールが横浜港に泰然と向き合っています。

平成13年、神奈川県民ホールは環境対策の実施にあたり、竣工時から自動制御・監視設備の保守を担当している山武が提案した、ESCOサービスが採用されました。その結果、初期投資せず冷凍機を更新、また高効率化機器導入により、環境、省エネ、省コストにも高い効果が現れています。

今回の改修工事のきっかけについて、ホール課(施設担当)の鈴木恒男課長補佐は「昭和50年の開館当初から稼動していたターボ冷凍機は老朽化が著しく、今後の故障によるイベント開催に対する影響が懸念されていました。また、冷媒にオゾン層破壊の要因の1つであるフロンR12を使用していましたので、環境問題への早急の対応も必要でした」と振り返ります。県に対して設備改修工事を申請していましたが、予算化が難しく、手がつけられない状況が続きました。


お話を伺った
鈴木恒男 課長補佐

●初期費用の負担なく改修工事を実施

冷凍機の故障懸念と脱フロン対策、予算がないという状況の神奈川県民ホールに、山武はESCO(シェアード・セイビングス型)による冷凍機更新を提案。シェアード・セイビングス型は、お客様が初期投資をせずに省エネルギー効果分でESCO事業者に施工経費を返済していく契約形態です。「当初はきつねにつままれたような気分でした。初期投資をせず冷凍機を取り替えられるというのですから」と鈴木課長補佐。平成12年の時点では、神奈川でESCOを導入した前例は無く、「ESCOについていろいろと検討しました。」

県民ホールは冷凍機更新を目的にESCOを導入することとし、平成13年2月に提案公募を行いました。この際、山武は、ターボ冷凍機1台をガス利用による蒸気吸収式冷凍機に更新し、併せて蓄熱コントローラ・熱源監視盤、冷却水ポンプ変流量制御等の導入を提示。審査の結果、山武の提案を採用していただきました。

「脱フロンである蒸気吸収式冷凍機への更新は、フロン対策を積極的に推し進めていた県の施策と合致していました。また、自動制御技術により既設機器の効率改善が有効に図れること、計測・検証が効率よく正確に行えるシステム提案が採用決定の決め手となりました。」

更新工事は同年4月から6月に実施。短い工期にも関わらずスムーズに工事を終えました。

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導入技術の紹介

1)ESCOサービス

近年話題となっている、省エネ実現の為の包括的サービスです。改修工事の費用は、省エネ化・高効率化によって生じる、光熱費等の契約期間における削減額により捻出されます。今回導入されたのは「シェアード・セイビングス型」(9年契約)。ESCO事業者である山武が資金を調達し、ESCOサービス開始以降、削減額からESCOサービス料を引いた額が神奈川県民ホールの利益となります。
山武のESCOサービスの詳細


新設した蒸気吸収式冷凍機

2)蒸気吸収式冷凍機

ガスを燃料とする蒸気吸収式冷凍機で、冷媒にフロンを使用しないため地球環境問題に対応した装置です。神奈川県民ホールではターボ冷凍機2台のうち1台をこの蒸気吸収式冷凍機に更新しました。電気とガス(蒸気)の複合利用を行うことで、コスト的に有利な運転管理の選択ができ、省エネ・省コストに貢献しています。

3)蓄熱コントローラ(PARAMATRIX-Ⅲ)・熱源監視盤(savic-netEV model10)

蓄熱槽の有効利用を目指し、蓄熱量・槽内温度・熱源温度管理を行う他、熱源機の自動運転管理、電力デマンド監視・制御等を行うシステムです。神奈川県民ホールでは、蓄熱コントローラにより夜間電力時間帯の蓄熱を図ることで電力の平準化を、また熱源監視盤の採用により熱源廻りの管理能力を高めました。

中央監視室に設置された熱源監視盤
savic-netEV model10を搭載


「多目的ホールという広い空間では温度管理が大変なのですが、savic-netEV model10は操作しやすく、画面が非常に見やすい。施設運営する上でとても助かっています。」(横浜ビルシステム株式会社 金澤 政廣 中央監視室長)
「savic-netEV model10は拡張性に優れているので、電力の省エネなど山武からもっと提案してもらって、試したいですね」

4)冷却水ポンプ変流量制御

冷却水・冷凍機出口温度により、負荷状況を判断し、冷却水ポンプのインバータに対し変流量制御を行います。今回導入した冷凍機に省エネ制御を導入し、空調負荷に見合った動力を使用することで、電力使用量削減を図っています。

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導入後の効果

●環境対策、省エネ・省コストを実現

目的の1つであった、フロン対策は、蒸気吸収式冷凍機の導入により脱フロンが図れ、地球環境問題に対応しました。また、蓄熱コントローラの採用により、電力を使用するターボ冷凍機の運転を夜間蓄熱に移行。電力平準化による間接的な環境対策への寄与、電力コスト削減を達成しました。ガスに関しては年間使用量の平準化により有利なガス契約を結ぶことでコスト削減に寄与しました。

「省エネ効果で光熱費が浮いた分、県の予算に依存せずに、老朽化した配管や、壁の修理等ができました。」と鈴木課長補佐。

●自治体ESCOのモデルケースに

「前例が無かったため、館長や副館長がESCO導入を県に説得することに大変苦労しました」と回想する鈴木課長補佐。今や神奈川県民ホールは県内のESCO導入の先駆け的存在であり、近年は環境計画課がESCOを推奨するなど、県の方針にも転換が見られています。同時に全国各地の自治体からも注目を集め、多くの問い合わせが寄せられています。

神奈川県民ホールのESCO導入は、省エネによる環境貢献、省コストによる新たな財源を導き、自治体のESCO導入に大きく道を拓いたといえるでしょう。

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今後の展開

神奈川県では建物の長寿命化計画が策定されています。これに伴い、神奈川県民ホールは開館から60年間の維持が決定しました。「30周年を機に、設備の大改修に着手する必要性があります。電気設備を省エネタイプに切り替えることや、空調設備の更新も必要です。ホール内の寒暖や空調機の騒音によって来場されたお客様の鑑賞の妨げをするわけにはいきませんから。その際には、また山武の力を借りたいと思います。」 また、バリアフリーを積極的に進め「お年寄りや、お体の不自由な方にももっと気軽に来て頂けるような、多くの人々に愛されるホールを目指していきます。」と鈴木課長補佐は抱負を語りました。

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お客様の声

「県民ホールの設備に携わって約17年が経ちますが、途中1年間ほど、この仕事を離れて県庁に勤務していた事があります。その際にも山武の営業は何度も訪れてくれました。

営業の熱意は素晴らしいと感心しています。ホールはエネルギー消費が膨大ですから、これからも省エネのノウハウを積極的に提供して欲しいですね。

私にとって神奈川県民ホールは、恋人のような存在です。これからもこだわりを持って、設備管理に携わり、快適空間の提供に貢献したいと思います。」


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